1876年、アメリカ、ペンシルベニアに生まれる。小さい頃はデュマやバルザックなどを図書館から借りまくる文学少女で、高校生のときに、すでに地元の新聞に短編小説を数編発表している。家は貧しかったが、伯父の厚意で看護学校に入り、卒業と共に外科医と結婚する。1904年、相場の下落で夫が大きな借金を負ったことが、創作活動に本腰を入れるきっかけとなった。1908年に「螺旋階段」を発表し一躍人気作家になる。1909年発表の「寝台列車下段十号の男」はその年のベストセラーの第四位になり、「七日間」という劇も大当たりした。ちなみに以後ラインハートはベストセラーリストの常連となっている。リストに載った作品は「ホワイト・キャットの窓」（1910）、「Ｋ」（1915）、「驚くべき幕間」（1918）、「危険な日々」（1919）など。1915年には三人の子どもがあったにもかかわらず、第一次世界大戦を取材しにヨーロッパに赴く。彼女はアメリカで最初の女性戦線特派員である。このときのレポートは「キング、クイーン、そしてポーン」として発表された。ユーモア、有閑階級の主人公、暗闇の研究ともいうべき魅力的な夜の描写など、ラインハートの作品には非常に特徴がある。1958年没。（林清俊）
 「Mary Roberts Rinehart」 |